トレーニングを行っている男性を対象に、ゆで卵と生卵を食べた場合にどちらが筋タンパク再合成に有利なのかを検討した研究論文が2022年に発表されました。
論文のタイトルは「Raw Eggs to Support Post-Exercise Recovery in Healthy Young Men: Did Rocky Get It Right or Wrong?」
今回はコチラの研究報告から「ゆで卵vs生卵」問題に切り込んでいく。
研究対象は「45人の若いトレーニー男子」
上記の論文で研究対象となった人たちのデータを記す。
- 年齢:18~35歳(平均24歳)
- 性別:男性
- BMI:18.5~30
- 筋トレ実施:週2回以上
- 喫煙:なし
試験方法
実験日前日の夕食は研究施設で全員同じメニューを食べていました。(454kcal、P:24.6g F:19.1g C:69.3g)
また、実験日の3日前からはアルコールとトレーニングを控えるように指示されています。
その後、研究施設で就寝し、一晩絶食後、AM8:00から実験を開始。
2時間半仰向けで休息をとった後に採決、下肢外側広筋の検体を採取しています。
それからエアロバイクにて15分のウォーミングアップを行い45分間の筋トレを行っています。
トレーニング開始前1,2,3時間前とトレーニング終了直後から15分刻みに300分まで採血を行い、トレーニング終了2時間後、5時間後に外側広筋の検体を採取しました。
トレーニング直後の食事内容
本研究では研究対象を3つのグループに分けて食事を行っています。
比較グループ:クロワッサンと10gのバター、350mlのオレンジジュース
394kcal、炭水化物47g、タンパク質5g、脂質20g
ゆで卵グループ:ゆでたまご5個
335kcal、炭水化物0g、タンパク質30g、脂質23g、水300ml
生卵グループ:生卵5個
335kcal、炭水化物0g、タンパク質30g、脂質23g、水300ml
結果
血中アミノ酸濃度はゆで卵に軍配
結晶中のロイシン濃度はトレーニング直後~食事開始までの2時間前、1時間前ではどのグループにも有意差はなかった。
また、比較グループでは食後5時間まで有意な差はなかった。
対して、ゆで卵、生卵を食べたグループは、食後15~300分まで、すべての時点で比較グループより有意に高い値で推移していた。さらに、ゆで卵グループと生卵グループの比較では、食後30~180分後にかけて、ゆで卵群のほうが有意に高い値で推移していた。
血漿中の総必須アミノ酸濃度、総非必須アミノ酸濃度、総アミノ酸濃度についても、有意差のみられた時間帯は異なるものの、ゆで卵群のほうが生卵群よりも高値で推移していた。
筋タンパク合成率はドロー
筋タンパク合成率を見ると3つのグループすべてで食後に筋タンパク合成率が優位に上昇した。食事直後から300分までの筋タンパク合成率は比較グループとゆで卵・生卵グループでは約20%高かった。
ただ、ゆで卵グループと生卵グループではほぼ同じであり、有意差はなかった。
まとめと考察
ゆで卵グループと生卵グループでは食後の血中アミノ酸濃度に差が出たが、筋タンパク合成には有意差がなかった。
この結果に対して、本論文では「推測」であるとしながら
5個の卵から30gの十分なタンパク質が摂取できている場合、血中アミノ酸濃度が高くなっていたとしても筋タンパク合成をより強く刺激することはないのではないかと考察している。
そして、しめくくりでは「ゆで卵でも生卵でも好きな方食べればいいんじゃない?」としていた。
ただ、海外では日本ほど生卵の安全性は高くなくサルモネラ菌の感染リスクがあることからゆで卵を推奨している。
僕たちが生きる日本では、ゆで・生どちらでもよいのかもしれない。
感想
ここには書いていないが、インスリンのレベルなどのデータも取っていて(有意差がなかったので割愛)詳しい研究がなされていた。読んでいて面白い論文であったと思う。
筋タンパク合成には差がなかったということで、結局「生卵でもゆで卵でもどっちでもええやん」という話になってしまった。だが、ミリ単位で筋肉のことを考えている人なら、ゆで卵にしておくべきなのかもしれない。特に最近のトレーニーは、トレーニング中に怪しい色をしたEAAドリンクをガブガブ飲んでいるので、血中アミノ酸濃度の差異についてはクリアできているように思う。
ただ、持ち運びのことを考えると僕は圧倒的にゆで卵をお勧めする。
おいしいしね!
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